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eコマース
カスタマー・エクスペリエンス(顧客経験)
クリエイティブ・ソリューション
デジタル・マーケティング
ブランディング
顧客インサイト

2010年2月19日

顧客エンゲージメント主導によるプロモーション・プログラムの成功:  'ディズニーランドのB&B(朝食付き宿泊施設)' - ヒルトン東京ベイ

ヒルトン東京ベイ(以下、HTBとする) のオンライン予約(宿泊予約)サイトからの予約が大幅に減少したことを受け、経営陣はeコマースに対応した専用のプロモーションサイトを立ち上げ、減少傾向を覆そうと考えました。HTBは、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーに隣接したオフィシャルホテルのひとつですが、HTB以外の5つのオフィシャルホテル(当時)には、全社的な予約サイトの他、それぞれ専用のウェブサイトがありました。

他のホテルに遅れて専用サイトを立ち上げることになったHTBは、予約件数を大幅に増加させる優れた戦略を必要としていました。そこでプランニングでは、リゾート顧客特有のニーズの洗い出しと卓越したマーケティング・プログラムの創出に焦点をあてました。

顧客インサイト(顧客理解)

経営陣はHTBを「ディズニーランドのB&B(朝食付きの宿泊施設)」と称し、東京ディズニーランド(以下、TDLとする)に滞在する宿泊客を呼び込む目玉に据えました。さらに、周辺エリアの宿泊客はホテルのブランドにこだわっているわけではなく、リピート率がかなり低いこともわかりました。

顧客がホテルを選ぶ動機や行動を中心に徹底的なリサーチを行った結果、ビジターの約70%が、ホテル探しにインターネットを利用したことが判明。選択の決め手として圧倒的に多かった属性は価格でした。このリサーチ結果により、マーケティングにおけるデジタル・チャネルの有効性が確認され、クリエイティブにおける課題が明らかになりました。

私たちは顧客にとって理想的な「リゾート体験」を表現する価格以外の要素に注目し、バリュー・プロポジション(顧客の視点に立った価値の提案)の主要ポイントを「バケーション・フィット」としました。つまり、ホテル側がいかにしてディズニーランドに行くという体験を補完し、付加価値を提供できるのか。求められる要素は、バケーション、ファンタジー、新しい体験。これらは顧客に感情的つながりを持たせ、彼らの関与度を高める要素です。

クリエイティブ・ソリューション

移り気な顧客を呼び込み、振り向かせ、つなぎ止めるプロモーションサイトを実現するため、相関性のある3つの要素をクリエイティブ・ソリューションの核としました。

  • ブランディング:豊かなTDL-HTBリゾート体験を表現
  • プロモーション:特典や特別プランを提供するプラットフォーム
  • エンゲージメント:3R顧客体験の提供

リゾートの要素を土台に「ディズニーランドのB&B」としての役割を取り入れたことにより、ブランド連想を積極的に拡大、活用することがデザイン・ブリーフの重要なポイントとなりました。プロモーション要素がブランディングをサポートし、顧客の感情的欲求に応える形となりました。さらに、理想的なファンタジーと新しい体験を提供する目的で、短期間の特別価格を設定。3R(リゾート、レストラン、ルーム)は、ホテル滞在のすべての面における体験を仕上げるものとしました。

新しいウェブサイトのトップページはビルボードとして使用し、何気なくサイトを訪問した人や条件を比較するために立ち寄った人の目に留まるようにしました。そのため、トップページは頻繁に変更され、(賛否両論ありますが)従来のホテルのサイトとは違ったものになりました。またクリエイティブな要素をつなぎ合わせ、ブランド・イメージを継続的に強化していくために、テーマ性のあるプロモーション「テーマ・プロモーション」のコンセプトを開発しました。

テーマの中にはディズニーとの関連性を強調するため、TDLの最新プロモーションに合わせて提供するタイプのものもあり、また3R体験を満たすためにホテル内での体験の充実も盛り込まれました。例えば、『ディズニー・キッズ・サマー・アドベンチャー』の時にはタイアップを強調し、ハロウィンのテーマの時にはTDLのシーズナル・プロモーションの意図を理解し、そのクリエイティブなスタイルを取り入れ、少し抑え目な感じにしました。いかなる場合においても、テーマをホテルに取り入れる多大な努力により、「ディズニーランドのB&B」に新しい付加価値をつけることに成功しました。

HTB図1

ウェブ戦略には、競合するマーケティングと顧客ニーズを取り入れました。トップページに関連プロモーションのコンテンツをプラスすることで、独自のブランディングとフレッシュなマーケティング・メッセージを提供しました。どのテーマ・プロモーションも、それぞれオリジナルスタイルで提示しました。

ウェブサイトのグローバル・ナビゲーションやページは、従来の手法を用いてホテル情報の掲載と宿泊予約という一般的なニーズに対応していましたが、その「一般的な」コンテンツや実装も、顧客リサーチをもとに強化しました。さらに、意思決定者や顧客セグメント、日本の文化的特徴に関する詳細な顧客インサイトも最終的なデザイン・ブリーフに盛り込みました。

結論

eコマースのプロモーションサイト構築のリクエストから始まったものが、結果的に包括的なマーケティング・プログラムへと発展しました。ホテル内アクティビティーやイベント、特典は、どのホテルにおいても基本的なマーケティングツールですが、テーマ・プロモーションの導入によりオンラインとオフライン活動を統合し、リゾート顧客層特有のニーズに対処しました。ウェブサイトはリゾートホテルのマーケティング・メッセージを提示する入口であり、非常に優れたカスタマー・エクスペリエンス(顧客体験)を提供するものとなりました。

専用のマーケティングサイトの立ち上げにより、下降の一途をたどっていたオンライン予約件数が急回復しました。その後18カ月にわたり、オンライン予約件数の300%増達成に貢献しました。

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